ベスト文集制作記録①(表紙)

概要

この記事は、ベスト文集の制作記録である。それと同時に、LaTeXで小説同人誌を作る方法の解説記事をも兼ねている。以前、初級編を執筆したときに、「中級編をいずれ書くつもりだ」と言いながら、ずっと書くのをサボり続けてきた。そこで今回、中級編を書き起こすことにしたのであった。

ベスト文集とは

九大文藝部では、およそ四年に一度の頻度で『九大文学』という名の冊子を刊行することが慣わしとなっている。『九大文学』はいわゆるベスト文集、すなわちこれまで発行してきた部誌のなかから、秀逸と思われる作品を部員の投票によって選出し、一冊の本にまとめた文集である。

先日、2019年度版のベスト文集が発行された。私も編集人の一人として、主に組版に携わらせていただいた。

私はこれまで、長いこと小説同人誌の編集に携わってきた。その活動を通じて、小説同人誌の作り方についてのノウハウが蓄積されてきた。先日発行した2019年度版ベスト文集では、そのノウハウを遺憾なく発揮したつもりである。ベスト文集の制作記録を書くことを通じて、LaTeXによる小説同人誌の制作法を伝えられたらと願う1

表紙データ

表紙

まずは表紙データの作り方から解説していこう。今回は、某君がGIMPで表紙を作ってくれた。英字だけのシンプルでかっこいい素敵な表紙だ。まるでペーパーバックのようである。

さて、このような素敵なデザインの表紙をどうやって作るかであるが、これについては、残念ながら私から伝えられることは何もない。「GIMPやペイントや手書きなどで頑張って作って下さい」と言うほかない。

私から言いたいことは、GIMPなどで作った表紙画像から、どうやって入稿用の表紙データを作るかである。

LaTeXによる表紙データの作り方

表紙データをPDFで入稿するようにと規定している印刷所も多い。つまり入稿するためには、画像をPDF化しなければならないのだ。そこで、今回私はPNG形式の表紙データをLaTeXによってPDF化することにした。

まず、表紙用の画像データをhyosi.pngというファイル名で保存しておくことにする。そして、次のようなTeXファイルを作る。

\documentclass{minimal}
\usepackage{pdfpages}
\begin{document}
\includepdf[fitpaper]{hyosi.png}
\end{document}

これをpdfLaTeXで処理すれば、PDF形式の表紙データが得られる。TeXは、画像をPDF化するのにも使えるのだ。便利なものである。

PP加工

印刷所に入稿予約をするとき、表紙に使う紙を選ぶことができる。今回はペルーラ・スノーホワイトを使用した。これは、光を当てるときらきらと輝く紙である。この紙に、オプションとして、マットPP加工を施してもらった。

なるべくPP加工を施してもらうことが大切である。PP加工をしておけば、本同士が擦れても塗料が剥がれることがないし、水にも多少耐性ができて丈夫になるので、PP加工はなるべく印刷所に頼んでやってもらおう。

 

次回に続く)


  1. などとエラそうに書いているが、所詮は素人の手すさびにすぎない。間違ったことが書かれてあっても、大目に見ていただきたい。 ↩︎

schedule 2019年10月12日
update 2023年1月15日
local_offer #LaTeX #DTP