ベスト文集制作記録⑪(入稿)

最後に、印刷所に入稿する際の注意事項を述べる。

入稿時の注意事項

紙の種類

入稿するとき、本文に使用する紙の種類が選べる。このとき重要なのは、書籍用紙クリームキンマリなどのほんのり茶色がかった色の紙を選ぶことだ。いくら値段が安いからといって、上質紙(真っ白な色をした紙)を選んではならない。

市販の文庫本や単行本を見よ。コピー用紙のように真っ白な紙は、普通、使われていないのである。書籍用紙やクリームキンマリなど、長文を読むのに適した紙を選ぶことが何より大事である。

断ち切り

印刷用語に「断ち切り」というのがある(「断ち落とし」「塗り足し」とも。用語の意味についてはGoogle検索せよ)。この断ち切りに関連して、二つの注意事項がある。

表紙担当に断ち切りのことを伝えよ

表紙担当が断ち切りのことを把握しているとは限らない。むしろ、把握していないことのほうが多い。表紙作成を依頼する際には、担当者にしっかりと断ち切りのことを伝えること。例えば、A5サイズの本を作るときには、表紙はA5よりも一回り大きなサイズ(上下左右にプラス3mmほど)で作ってもらおう。

また、表紙に文字を入れたいときもあるだろう。このとき文字が表紙の端っこすぎると文字が切れてしまうことがあるので、少し内側に寄せるほうが安全である。このことも表紙担当には伝えておきたい。

本文の断ち切りを作るのを忘れぬように

普通のレイアウトでは本文には断ち切りは要らない。しかし、紙の端まで印刷したい場合は、本文データにも断ち切り部分を作る必要がある。今回のベスト文集も、断ち切りが必要なデザインであった。

私の場合、「断ち切りを作るべし」ということ自体は覚えていても、編集時にはレイアウト確認のため断ち切りなしバージョンで作業していることが多く、その結果、入稿時にも間違えて断ち切りなしバージョンでデータ送信してしまうことがある。入稿時には断ち切りを作るのを忘れぬよう注意したい。

よくある凡ミス

よくある凡ミスを列挙しておこう。これらは、入稿前にいま一度チェックしておきたい。

  • 他人のペンネームを間違える(特にその人が複数のペンネームを持っている場合)
  • 目次で作品タイトルを間違える
  • 柱で作品タイトルを間違える
  • 奥付の情報を間違える(特に年月日)

このなかでも近年文藝部内で目立つのが、「柱で作品タイトルを間違える」ミスである1。私はLaTeXを用いているのでこの類のミスはしたことがないのだが、Wordで編集している場合、このミスが多発する。気をつけよう。

以上、ベスト文集制作の主に技術的な側面を記述してきた。次期ベスト文集の編集人の健闘を祈る。


  1. 「柱」というのは何かというと、本には普通、各ページに小さく作品タイトルや章タイトルが書いてあると思うが、その小さく書かれたタイトルのことである。 ↩︎

schedule 2020年4月13日
update 2023年1月15日
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